リウマチ膠原病のQ&A

日常診療で出会ったギモンに取り組んでいきます!

インターフェロンガンマ遊離試験の特異度の比較

Comparison of specificities between two interferon-gamma release assays in Japan.
Int J Tuberc Lung Dis. 2012 Sep;16(9):1190-2.
 
Abstract
私たちは二つのインターフェロンガンマ遊離試験(IGRAs)、T-SPOT®.TB (T-SPOT)theQuantiFERON®-TB Gold In-Tube (QFT-GIT)の特異性を比較した。対象は日本人で結核のリスクが低い人を厳選した。111例はほとんどBCG接種を受けていたが、国際的なカットオフ値を用いて1例が両方の検査に陽性で、110例が陰性であった。いくつかのMeta-analysisQFT-GITの特異性はT-SPOTよりも高いと報告しているが、私たちの研究では結核感染が本当に低い人口において両方とも同等に高い特異性を有した。
 
Subjects and Methods
T-SPOTQFT-GITともTable 1に示す厳しい登録基準によって選出された大学生において血液検査をした。採血は2011.1/12-2/8の間に行った。急性感染症、自己免疫疾患や慢性疾患の生徒はいなかった。両検査とも製造者の指示通りに行った。簡単にいえば、T-SPOTのサンプルは千葉大学病院から室温にて結核検査施設に送られ、採血から32時間以内に末梢血単核球を準備する前にT-cellXtend (Oxford Immunotec)を用いて処理された。QFT-GITの血液サンプルは採血から16時間以内に千葉大学病院で培養された。QFT-GITのサンプルは培養後に結核検査施設に送られた。
健康なボランティアがこの試験に参加し、書面上または口頭の説明の後に書面で同意を得た。この研究は千葉大学病院、結核検査施設の倫理委員会において承認された。
 
Table 1 除外基準                  
1.結核の流行国で生まれた
2.結核の発生率が10万人当たり25人以上の市に居住した
3.結核が流行している外国に1ヶ月以上居住した
4.胸部X線異常
5.結核患者との接触
6.家族、友人、知人に結核患者がいる。
7.結核感染がありそうな病院、刑務所、自衛隊、老人ホーム、リハビリ施設などで働いた経験がある
                          
 
Statistical analyses
検査特性を調べるため、一致とカッパ係数が計算された。
 
RESULTS
129人の生徒がこの研究に登録され、18人がTable 1の除外基準によって除外された。おもに結核の発生率が10万人あたり>25人の市の居住が原因であった。日本にはいくつかの結核が流行している地域があり、とくに東京がそうである。そのため、私たちは健常人において説明がつかない結核感染の可能性を最小限にするためにこの暫定的な基準を作った。健常人の対象の特徴をTable 2に示す。全ての対象は日本人で平均年齢22.1歳。約2/3が女性で79.3%BCGワクチンを受けた。6人は受けておらず、17人は不明(15.3%)。
二つの検査の結果はTable 3111例のうち1例が両方の検査に陽性だった。判定不能な結果はなかった。T-SPOTでボーダーライン(5-7 spots, USA criteria)の結果はなく、110例が陰性だった。QFT-GITでも国際的なカットオフ値(陰性;抗原刺激IFN-γ値からNil controlの値で引いた値<0.35IU/ml)。両検査とも国際的なカットオフ値に基づいた特異度は99%だった。QFT-GITにおいて日本のボーダーラインの基準(0.1–0.34 IU/ml)110例に適用すると、14例がこの範囲に入り、96例が陰性だった(<0.1 IU/ml)
 
Table 2 対象となった健常人の特徴(N=111
 
国籍   日本:1111人はオーストラリアで生まれた)
男女比  35:76
平均年齢 22.1SD 3.2
BCG接種歴
なし    6
あり   88
不明   17
外国の居住歴
なし   109
あり    2(オーストラリア1人、カナダ1人)
                     
 
イメージ 1