リウマチ膠原病のQ&A

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SLICC/ACR Damage Index (SDI)

SLICC/ACR Damage Index (SDI) について勉強します。Abstractだけ訳して、後にSDI (Table 1)を示します。

 

The development and initial validation of the Systemic Lupus International Collaborating Clinics/American College of Rheumatology damage index for systemic lupus erythematosus.

Gladman D, et al.

Arthritis Rheum. 1996 Mar;39(3):363-9.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8607884/

 

Abstract

Objective: SLEのdamage indexを作り、最初のvalidationを行うこと

 

Methods: SLEのダメージを反映すると考えられる項目のリストが名称群のプロセスで作成された。indexに入れるべきアイテムに関してコンセンサスが得られた。確認のためのルールとともに。各センターが活動性SLEと非活動性SLEの2例に関する5年以上離れた2つの評価を提出した。2例のうち1例はダメージが蓄積し、もう1例は安定した疾患をゆうするものとした。分散分析が医師の要素、時間、ダメージ量、活動性の状況を検証するために用いられた。

 

Results: 19人の医師が42のcase scenariosに関してdamage indexを完成させた。解析の結果、damage indexが活動性と非活動性のSLEを有した患者たちに見られたダメージの変化を識別することが分かった。これらのdamageを用いた評価では医師の間で差はなかった。

 

Conclusion:このSLEのdamage indexは原因に関わらずSLE患者に起きたダメージを記録する。このindexはcontent, face criterion and sicriminant validityを有することが分かった。

 

Table 1. Systemic Lupus International Collaborating Clinics/American College of Rheumatology Damage Index for Systemic Lupus Erythematosus*

 

Item

Score

眼所見(いずれか片方の眼の所見。臨床評価によるもの)

 

1

  • 網膜変化or視神経萎縮

1

神経精神症状

 

  • 認知障害(例、記憶障害、失算、集中の欠如、話す・読むことの困難、行動レベルの低下)or主要な精神病

1

  • 痙攣(6ヶ月の治療を要するもの)

1

  • 過去を含め脳血管系イベント(2回以上であればscore=2)

1 (2)

  • 脳神経、末梢神経障害(視神経を除く)

1

  • 横断性脊髄炎

1

 

  • 推定or計算されたGFR<50%

1

  • 尿蛋白≥3.5g/24h

1

  • 末期腎不全(透析or移植にかかわらず)

3

 

  • 肺高血圧症(右心負荷、P2増高)

1

  • 肺線維症(診察上andレントゲン上)

1

  • Shrinking lung (レントゲン上)

1

  • 胸膜の線維化(レントゲン上)

1

  • 肺梗塞(レントゲン上)

1

心血管系

 

1

  • 心筋梗塞(過去を含む)(2回以上ならscore=2)

1 (2)

1

  • 弁膜症(拡張期雑音または収縮期雑音で3/6であること)

1

  • 心膜炎(6ヶ月以上)or心膜摘除術

1

末梢血管

 

1

  • わずかな組織の損失(pulp space髄腔)

1

  • 有意な組織の損失(手指や四肢の欠損など)(2ヶ所なら2点)

1 (2)

  • 腫脹、潰瘍または静脈うっ滞を伴う静脈血栓症

1

消化器系

 

  • 十二指腸より下の腸梗塞、脾臓、肝臓や胆嚢の梗塞(過去のものを含め理由によらず)(2ヶ所ならscore=2)

1 (2)

  • 腸間膜不全

1

  • 慢性腹膜炎

1

  • 上部消化管の狭窄、これまでの手術歴

1

筋骨格系

 

  • 筋委縮or筋力低下

1

  • 変形性orびらん性関節炎(もとに戻る変形、無血管性骨壊死を除く)

1

  • 骨折や椎体圧迫を含む骨粗鬆症(無血管性骨壊死を除く)

1

  • 無血管性骨壊死(2ヶ所ならscore=2)

1 (2)

  • 骨髄炎

1

皮膚

 

  • 瘢痕性慢性脱毛

1

  • 広範な瘢痕or頭髪部以外の脂肪織とpulp space髄腔

1

  • 皮膚潰瘍(血栓症を除く)。>6ヶ月

1

早期の卵巣不全

1

糖尿病(治療に関わらず)

1

悪性腫瘍(dysplasia異型は除外)(2ヶ所ならscore=2)

1 (2)

 

*ダメージはSLE発症から起きたもので、臨床評価で確認されたもの。特に記述がない限り6ヶ月以上持続して存在するもの。繰り返しのエピソードはscore2とするために少なくとも6ヶ月以上離れて存在しなければならない。同じ部位の病変は2回カウントできない。

 

 

ps

↓SLEの緊急病態

 

 

 

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